分限帳調査の注意点①

先祖がどこかの藩士だったと伝わっている場合、まずはその藩の分限帳(藩士の名簿、藩によって呼び方が異なる)で調べることになります。

分限帳といっても各時代に作成されたものがありますので、まずは最も古い除籍謄本に記載されているご先祖と重なる時期に作成されたものを選ぶ必要があります。除籍謄本で確認出来たご先祖と氏名が一致する藩士の存在を確認することで、自分の先祖であるか否かを特定することが出来るわけです。

除籍謄本と時期が重なるということは、必然的に幕末~明治初年に作成された分限帳ということになります。

しかし、ここに一つ大きな問題があります。
明治維新前後に改名しているケースが非常に多いということです。

豊前小倉藩の全藩士について、私が実際に調べて統計を取ってみたのですが、知行取388人中198人、切米取1061人中521人、計1449人中719人が維新前後に改名しています。実に49.6%が改名していることになります。

実際にどのような改名をしているかは、私の作りかけのサイトで確認できますので、興味がある方はご覧になってください。改名している場合は、名前の後ろに(後に喜蔵)といった表現で書き込んでいます。

豊前小倉藩十五万石

維新前後で改名してしまっていると、除籍謄本で判明した名前と幕末頃の分限帳に記載されている名前がたとえ同一人物であっても一致せず、ご先祖かどうか分からないということになるわけです。

ここでは、小倉藩だけを例として取り上げましたが、特にこの藩だけが突出した事情があるとは思われませんので、他の藩にしても似たような数値が出るのではないかと思われます。

武士だったという言い伝えがある場合、分限帳に同じ名前が見当たらないというだけで、自分の先祖は武士ではなかったのかと安易に結論付けないことです。

(記:平成26年5月9日)

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