郷土誌研究

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戸籍調査の結果、最も古い本籍地が特定出来たら、その地を含む市町村の郷土誌を調べます。郷土誌は、まさしくその地域だけの歴史を研究しているものですから、郷土の歴史に関する貴重な情報が満載です。大庄屋・庄屋(名主)・組頭・百姓代等の村役クラスなら名前そのものが記載されていることが多いものです。

この郷土誌を読み、明治初期以前にご先祖が住んでおられた地域の歴史を頭に入れておくことが重要です。その地域はその地域なりの歴史的運命というものがあります。一軒一軒の家もその地域の歴史の流れに無縁ではあり得ません。その地の歴史を学ぶ価値は高いのです。

郷土誌を調べる時のポイントは、より狭い範囲の郷土誌から始めることです。そのような郷土誌の方がとても小さな事柄まで記述されていますので、村役クラスではない一般農民であっても記載されていることがしばしばあります。

より狭い範囲の郷土誌とはどういうことか? 当事務所が所在する福岡県遠賀郡岡垣町を例にしてご説明してみます。

まず、大きな行政単位である「福岡県史」があり、次に「遠賀郡史」、さらに「岡垣町史」があります。より狭い範囲の郷土誌とは、まずはこの岡垣町史を調べることになりますが、岡垣町ではさらに旧村単位=現在の大字単位だけで成立している郷土誌もあるのです。このような郷土誌となると、範囲が狭いだけに実に細かな記述があります。

他の地域でも同様に、より狭い地域の郷土誌を探してみることです。ただ、この程度まで地域を絞っていくと、図書館の書棚に陳列されていない場合が多く、大体書庫に保管されています。

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書庫に保管されていれば、いくら陳列の書棚を探しても見つかるはずがありませんので、図書館の検索機能をいかに上手く利用するかにかかってきますし、図書館のリファレンスを活用させて頂くことです。熱心で協力的な方であれば、意外な掘り出し物的な文献を持ってきてくれたりするものです。

また、郷土史に関心の深い方が住んでおられた町・村などであれば、その方が書かれた本当に小さな地域史があったりします。そのような文献では、江戸期の普通の農民の方についての事柄もどんどん出てきます。

明治初期以前にご先祖が住んでいた地域が遠方である場合について。この場合は、現地調査に向かうにしても、交通費や宿泊費がばかになりませんし、仕事などで忙しい人にとっては、お金以上に時間を作ることが難しいという方もおられるでしょう。

このような場合は、最寄りの図書館で該当地域の郷土史を取り寄せてもらい、貸し出しをして自宅で読んでおくということをお勧めします。

一般的に、郷土史というのは1000ページを超える分厚いものが多く、それも複数冊読む必要があります。それらを現地の図書館に行って読もうと思えば、それだけに1日以上は費やされてしまい、より多くの宿泊を重ねることになりかねません。

このため、予め読むべき郷土史を地元の図書館で取り寄せて読んでおき、現地に向かう際には「地元の方よりもその地の歴史には詳しい」という状況にしておきたいものです。