除籍謄本の請求方法

除籍謄本・改製原戸籍謄本の取り寄せは、家系調査の出発点です。

除籍謄本とは、戸籍に記載されている人が婚姻や養子・死亡等により抹消され、全員いなくなった戸籍の抜け殻のようなものです。または、他の市区町村へ本籍を移した(=転籍)場合も、元の本籍地では除籍謄本となります。

また、戸籍法の改正が行われると、その都度新しい様式の戸籍に書き換えが行われますが、この書き換えをする前の戸籍を改製原戸籍と呼びます。

これらの戸籍を父→祖父→曾祖父→高祖父と、それぞれを筆頭者(戸主)として遡って請求することで、幕末から明治初期頃に生まれたご先祖様を知ることができますし、その頃に住んでいた土地を特定することができます。

請求場所は、本籍地を管轄する市町村役場の戸籍担当係です。稀に住所地の役場と勘違いされる方がいるようです。ご注意ください。

請求の仕方は、各役場で若干の違いがあるようですので、戸籍の担当係の方に「遡れるだけの除籍謄本・改製原戸籍謄本を請求したいがどうすれば良いか?」と聞くのが一番かと思います。

請求理由は、直系尊属が記載されているものであれば「家系図作成のため」で十分です。窓口の係の方から家系図作成では交付できないと言われたと聞くことがありますが、傍系尊属の請求をしているのかも知れません。

もし、直系尊属の請求であるにもかかわらず、家系図作成の目的で拒否された場合は、失礼ながらこれは窓口の方の勉強不足かと思います。

なお、役所が除籍謄本を保存しておかなければならない年数は80年と法定されていましたが、平成21年6月1日より150年に改正されました。

しかし、せっかく法定年数が延長されても、保存期間が80年間だった時期に既に処分されてしまった謄本も多いようです。物理的に処分されたものが復活することはありませんので、この場合はどうしようもありません。

このため、最も古い除籍謄本でも幕末頃(慶応・元治・文久・万延・安政・嘉永くらいが多い)に生まれた方が戸主であることがザラです。一昔前までは、文化・文政といった1800年代前半生まれの方が記載されていたものですが・・・時代の流れとはいえ、残念なことです。

金額的には、取得出来る謄本もせいぜい4~6部程度ですので、1部750円として5000円以内で済むでしょう(※一系統だけの場合)。ただし、転籍を多く繰り返していれば、より多くの費用が必要となります。

転籍を繰り返している場合の請求方法

転籍とは本籍地を移すことですが、住所を移転しているからといって、必ずしも本籍まで移しているとは限りません。明治の頃から住所を転々としていたとしても、本籍は全く動かしていないこともあれば、住所移転の度に転籍を繰り返していることもあります。この違いは、その時のご先祖様の考え方によるものでしょう。

ただ、これから除籍謄本を取り寄せようとする場合、転籍を繰り返していると、取り寄せがなかなか面倒なものとなります。それぞれの土地の市町村役場毎に請求する必要があるからです。まず、現在に近い順から取り寄せます。

転籍をしている場合には、筆頭者(戸主)の名前が書かれた上の欄(筆頭者の情報を記載しているところ)に、転籍の事実が記載されていますので、そこで確認をします。

例えば・・・「大正12年3月2日福岡県遠賀郡岡垣村百番地ヨリ転籍」というような表現になっています。そこで今度は、その岡垣村百番地を管轄する役場に対し、当該番地の除籍謄本を請求することになります。さらに転籍があれば、その繰り返しをします。

場合によれば、遠方の市町村が請求先となることもあるでしょうが、その時は郵便にて請求することもできます。その場合の請求方法は、市町村役場によって多少異なることもあるでしょうから、当該役場の戸籍係りの方に問い合わせる方が確実かと思います。

転籍を多く繰り返している場合、各地域の役場に次々と取り寄せをすることになりますので、余分に費用も掛かるし、かなり日数も要しますので、結構面倒なことです。

代理人による請求方法(委任状の書き方)

仕事の都合などで、役所が開いている時間帯には行けないという場合は、上記のように郵便で請求することもできますが、代理人に委任状を渡して行ってもらうこともできます。代理人は、家族や友人・知人など誰でも構いません。

ただ、ここで気をつけておくことがあります。それは、請求する除籍謄本毎に委任状が求められるということです。(1通の委任状で当該役場にある戸籍を全て請求する書き方もあるのですが、文章では表現し難い。)

例えば、父・祖父・曾祖父・高祖父の4部の除籍謄本を請求する場合、計4枚の委任状が必要となります。委任状には筆頭者の名前を書かなければいけませんので、それぞれの名前を書くために4枚用意するということです。

しかし、委任状を代理人に渡す時点では、曾祖父や高祖父の名前は分かっていない場合が多いと思います。その際は、筆頭者の名前を書く欄に小さく「○○の直系尊属」(○○には、自分や父などの名前を書く)と書いておけば窓口の方も納得して頂けるケースが多いようです。

また、実際に申請してみなければ、最終的にどこまでの除籍謄本が取れるか分かりませんので、委任状も余分に預けておいた方がよいかと思います。

なお、委任状の作成にあたっては、各市町村のホームページに委任状のフォームが添付されていることが多いので、それをダウンロードして使用する方が無難です。自分が申請する市町村のホームページを検索し、委任状のフォームが添付されていないか確かめてみてください。

以上を読んで、自分でやってみようと思われた方は、是非チャレンジしてみて下さい!

取得後の問題点

全ての除籍謄本・改製原戸籍謄本が揃った後にも、以下のような難題が待ち受けています。

①謄本の解読

明治期の戸籍は、現在のそれとは異なり、毛筆による手書きです。手書きですので、書いた人により、達筆過ぎて読めない、逆に乱雑過ぎて(癖が強過ぎて)読めない文字が多々出てきます。これまで多くの戸籍に接し、一般の方より遥かに読み慣れている我々でも、「なんでもう少し綺麗に書かなかったのか!」と嘆いてしまうような悪筆に出会うことも少なくありません。

②消えた地名

読み辛い文字の上に、戸籍に書かれている当時の地名が今は消滅していることが多いものです。このため、現在のどこに当たるのがが分かり難く、また地名が分からないために文字の推測が付き難く、さらに解読を困難にさせます。

③変体仮名の解読

幕末~明治頃の女性の名前は、カタカナ又はひらがなで書かれていることが多いものですが、地域によっては「変体仮名」が用いられていることがあります。この変体仮名の読み方を知らなければ、女性の名前を解読することが難しいものとなります。

④続柄の確定

戸籍に出てくる方々の続柄の確定も難しい場合があります。戦前までは大家族制ですので、現在の戸籍のように”親と未婚の子”だけで構成されていません。戸主の妻子だけでなく、隠居した父母や祖父母。戸主の兄弟姉妹や分家していない弟の妻や子。さらには、父の兄弟姉妹(=叔父や叔母など)やその妻や子など、非常に多くの人物が登場します。それぞれがどのような関係になるのかを誤りなく理解し、家系図に展開することは難しいものです。

家系図の勉強会などで、各自で書かれた家系図をチェックすることがありますが、かなりの確率で誤りを見つけてしまいます。

⑤謄本を全て請求しているか?

家系調査に必要な除籍謄本・改製原戸籍謄本が全て漏れなく取得出来ているか? この点についても、戸籍に慣れていないと見極めが難しいかも知れません。

戸籍調査から少し踏み出す!

以上、除籍謄本・改製原戸籍謄本により、幕末頃からのこれまで知らなかったご先祖様の名前や出生・没年、婚姻や養子の事実などが分かりますので、驚きや感動も多く抱かれるかと思います。

ただ、戸籍による調査は、文字通り戸籍に書かれている内容が全てです。

たとえば・・・

  • 江戸時代のご先祖様が住んでいたところが何藩のどのような村だったのか?
  • その村には、どのような歴史があったのか?
  • 士農工商など、どのような身分であったのか?
  • 武士なら、何藩の何石何人扶持だったのか?    etc.

このようなことは当然分かりません。

戸籍調査で判明した事実に、上記のような情報を加え、ご先祖様をより身近に感じていただくために、弊社では郷土史等の諸文献を研究して戸籍調査の結果に加える家系分析報告書のサービスをご提供しています。


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